沈黙の車内で私は煙草に火をつける。一瞬車内が明るくなり私が煙を吐く息づかいだけが車内にしみこむ。
一瞬、マを置いてて赤木が沈黙を破った。
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どう?アムウェイ?やる気はある?
なんでや?めちゃめちゃあるで。
商品とか気に入ってる?
おぉ。そうやなだけど俺には関係ない物ばっかりやからな~洗剤とか・・・笑
そうやな飯は食って来た?
いいや。お前が次回は食事しないで来て下さい。ってゆーてたから。
そうやったな。実はお前に話とかなあかん事があるねん。。。。。
やっぱりやめとこうかな。。。。
なんやねん!イライラすんな!
絶対怒らんと聞いてな。
聞いてみな分からんわ。
。。。。。
早よ言えよ!
実は今日の説明はナベやねん。
鍋?
そう。鍋と浄水器と電磁調理器。
それで飯食ってくるなって言うてたんか。ほんで?
説明が終わったら今日は買う話になる。
なるほど
お前は買わんでもええから取り合えずその場は、黙ってローン用紙にサインして欲しいねん。
。。。
お前とこは嫁さんにもちゃんと説明して納得して買って欲しいから家までもう一回説明に行くから。
実際買うのはその時でええから、なぁ頼むわ。
それは今後アムウェイやるのには買わなあかん物なんか?
はっきり聞かれると困るけど俺らはそうしてる。
なるほど。なんぼすんねん全部で。
35万くらい。
分かった。買うわ。女には俺が説明するから気にすんな。
ま、まじで?ありがとう。でも、この話は聞いてない事にしてな。
絶対やってはいけない事やってんねん。
分かった心配すんな。
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時間がなかった為詳しい話は帰りに聴く事にして私達は事務所に向かった。
赤木の方はと言うと、さっきまでのは何だったのかと思うほどニコニコしている。
後で聞いた話では、私がその場面で激怒して色々突っ込んできてその場をぶち壊すのではと、ずっと悩んでいたらしい。
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何事もなかったように、三回目の説明会が始まった。
昔は、鬼ゾリだった赤木は趣味の悪いエプロンをかけてなれた手つきで、肉じゃが、ご飯、から揚げ、焼き鮭、大学いもをあっという間に作って見せた。
私はと言うと、下手なサクラのように「これ凄い鍋ですね。」とか、「今日買いたいな。赤木さんローンとか組めないんですか?」とか訳の分からん事を連発して別の意味で場をぶち壊して、最後には買うのを渋ってる人間相手に説得まではじめる始末で、手におえない状態だった。
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この三回目の説明は「鍋決め」とか「キメ」と言われ最も重要な日です。
買うのを渋った子は何時間も説得され、アムウェイをやって友達を無くす瞬間です。
後でクレームが来たり、消費者センターへの相談が最も多いのもこの時のやり取りです。
親がびっくりしてクレームを言ってくることも少なくないらしい、18歳位の頭金髪の男の子がある日親に内緒で35万もするお鍋セットを買ってくるのだから、無理もありません。
そして無事ローン用紙にサインをしたら本格的なビジネスの話が聞けるのです。
アムウェイのマーケティングプランには載っていない。
鍋を買ったものだけが聞く事が許される。
アムウェイビジネスの裏を。。。。。